包茎だと、HIVを含め淋病やクラミジアなど、いろいろな性病にかかりやすいと言われています。
そこで今日は、
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包茎だと本当に、HIV・淋病・クラミジアなどの性病にかかりやすいのかどうか?
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また、その場合、なぜ包茎だと性病にかかりやすいのか?
といった点について、わかりやすく解説したいと思います。
- 包茎と性病のかかりやすさを示す調査データ
- 包茎だと性病になりやすいと言われる理由
- 毎日仮性包茎をキレイに洗っていてもHIVになりやすいと考えられる理由
- 性病対策として、包茎手術を受けるべきかの参考情報
などがわかります。
データで見る「包茎と非包茎の性病のかかりやすさ」
いろいろ調べてみたところ、「包茎とHIV」に関する調査結果、研究結果はいくつかありました。
ただ、HIVではない「他の性病」に関しては、参考になる調査結果は見つけられませんでした。
アメリカ・Johns Hopkins大学医学校感染症学科のSteven Reynolds氏らの研究結果
こちらの研究は、インドで2298人の男性を対象に行なった調査です。
1993年~2000年にかけて、HIVに感染していない男性を定期的に追跡調査しました。
対象者のうち、包皮切除を行っていた(つまり包茎手術済み)のは191人、未切除だったのは2107人でした。
また、包茎だったとしも、「仮性包茎」「真性包茎」どちらの状態かはわかりません。
7年経過したときのHIV感染の有無が下記の結果です。
包皮切除した | 包皮切除してない | |
調査対象の人数 | 191人 | 2107人 |
上記のうちHIV感染した人数 | 2人 | 165人 |
HIV感染した人の割合 | 1.05% | 7.83% |
フォローアップは4.1カ月間隔で3回(いずれも中央値)実施された。その結果、包皮未切除者では2107人中165人にHIV-1感染が見られたのに対し、包皮切除者では191人中2人が感染しただけだった。
7年の間で、包皮を切除した人でHIV感染したのは「1.05%」。
一方、包皮切除しなかった人でHIV感染したのは「7.83%」。
その差は明らかですね。
第17回国際エイズ会議(International AIDS Conference)での発表
こちらは、2008年メキシコで行われたエイズ会議での発表です。
2つの臨床試験で、「包皮切除によりHIV感染のリスクが減る」ことが判明したそうです。
「ケニア、ウガンダ、南アフリカで実施された2つの臨床試験では、包皮切除により男性のHIV感染リスクが半分以上減ることが明らかになっている。」
以上のように、「包茎が原因でHIVになりやすい」という研究結果はいくつかあります。
ただ、包茎だと性病にかかりやすいという可能性は高いわけですし、その理由もいくつか発表されています。
その理由についてこれから紹介していきます。
「包茎が性病にかかりやすい」理由は2つ
包茎の人が性病にかかりやすいと言われている理由は、主に2つあります。
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1つ目は、普段被っている状態が不衛生で、雑菌などが繁殖しやすいから
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2つ目は、「包皮内板」と言われる包皮の内側にある部分が、雑菌・ウイルスの侵入に弱いから
です。
2つとも詳しく解説をしていきます。
【性病になりやすい理由1】 不衛生になりやすく、雑菌が繁殖しやすいから
皮で包まれているというのは、ある意味、密閉空間なので、空気に触れずジメジメした状態です。
カビなどの発生を考えてもらえばわかると思いますが、こういった空気に触れずジメジメした環境というのは、雑菌などが繁殖しやすい状況です。
しかも、ペニスは尿や精子などが出てくる部分で、普段日常生活を送っているときでも、ごく微量の尿や精子が漏れ出たりすることがあります。
その部分が包皮で包まれている状態なわけです。
とくにカリの部分は、一番奥深い部分で溝になっているため、不衛生で雑菌が繁殖しやすい状況が揃っている状態といえます。
不衛生で雑菌が繁殖するようになれば、炎症を起こしやすくなります。
炎症が起これば皮膚が傷ついてる状態ですので、ウイルスや細菌など、いわゆる性病にかかりやすくなるわけです。
もちろん、仮性包茎の場合は、毎日綺麗に洗っていれば、清潔を保つことはできます。
ただ、毎日きちんと綺麗にしていないといけないですし、手入れが甘かったり、夏場など汗をかきやすい状況になれば、剥けている人よりも不衛生になりやすいのは否定できません。
【性病になりやすい理由2】 包皮内板が細菌やウイルスの侵入に弱いから
包皮内板というのは、被ってる包皮の内側部分のことを指します。
包茎の方は、よくわかると思いますが、包皮内版というのは繊細で皮膚も薄い部分です。
そのため刺激にも弱く、炎症を起こしやすい部分です。
理由1でも話したとおり、炎症を起こしやすいということは、細菌やウイルスの侵入に弱く、病気にかかる可能性があるということです。
包茎でない、剥けている人であれば、包皮の部分は普段から、パンツなどに擦れて皮膚も強くなっています。
しかし、包茎の人の場合、包皮内板は内側に隠れているため、刺激も受けず、皮膚も薄く敏感なままです。
そのため、普段から皮膚に触れている部分と比べると、刺激に弱く炎症にもなりやすいわけです。
包皮内板にある「ランゲルハンス細胞」が、HIV感染を高める?
また、冒頭で挙げたHIVの感染については、包皮内板そのものが原因で、HIVの感染率が高まるという報告があります。
なぜかというと、「包皮内板にはランゲルハンス細胞という細胞が数多くある」からです。
このランゲルハンス細胞は、肌の表皮上層に存在していて、身体を守る免疫システムの一翼を担っています。
抗原提示細胞と呼ばれるものですが、体内に異物が侵入すると、このランゲルハンス細胞はそれを察知して、その異物に対抗するための抗原をT細胞に伝えます。
T細胞はその抗原をもとに、攻撃するべき異物を認知し、その異物を攻撃するように指令を出します。
ところが、HIVウイルスが体内に侵入した際、ランゲルハンス細胞はT細胞に抗原を提示するため、リンパ節を遊走しますが、そのときにHIVを体内に取り込んでしまい、感染してしまう場合があるのです。
「HIVは,CD4/CCR5を介してランゲルハンス細胞(LC)に感染し,これを足がかりとして生体内に侵入する」
つまり、体を守るためのシステムが、逆にHIVウイルスに感染するという原因にもなっているわけです。
先ほども伝えたとおり、ランゲルハンス細胞は包皮内板に数多くあります。
そのため、包皮内板のある包茎の人ほど、HIVに感染する確率が高まるわけです。
そのため包茎手術をすることによって、その確率を下げることができると言われています。
アメリカのイリノイ大学(University of Illinois)の研究者チームの発表でも、ランゲルハンス細胞とHIV感染にに関する発表がありました。
「包皮には、HIVウイルスが取り付いて侵入しやすいランゲルハンス細胞が多数あるため、包皮切除はHIV感染予防策として有効だという。」
ただ、現時点では、あくまで可能性の話であり、『包茎の方が間違いなくHIVに感染しやすい』と確定しているわけではありません。
ただ、そういった話が研究者の間から出ていることは覚えておいて損はないでしょう。
実際、
と思ってる人も多いでしょうが、その方たちにとっては、この調査・報告は目からウロコの情報だと思います。
今回のまとめ
以上が、「包茎と性病のかかりやすさ」に関するお話でした。
今回の話は、因果関係がはっきりと認められているわけではないですし、専門家によっても意見がわかれる部分もあるようです。
リョータロー自身もあまり
とかは煽りたくありません。
ただ、知らない方も多いと思うし、病気のことはとても重要で「なってからでは遅い」ので、参考になれば幸いです。
今回の記事のまとめ
包茎と非包茎のHIV感染率
包皮切除した | 包皮切除してない | |
調査対象の人数 | 191人 | 2107人 |
上記のうちHIV感染した人数 | 2人 | 165人 |
HIV感染した人の割合 | 1.05% | 7.83% |
※アメリカ・Johns Hopkins大学医学校感染症学科のSteven Reynolds氏らの研究
包茎が性病になりやすい理由
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【性病になりやすい理由1】不衛生になりやすく、雑菌が繁殖しやすいから
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【性病になりやすい理由2】包皮内板が細菌やウイルスの侵入に弱いから